+過去の記事の再録です*
伝説の本屋がある
中央からぶら下がった番台みたいな
管理人が居る書棚が一定間隔で
4面に移動するという本屋
その下は畳敷きで店主の息子の嫁が寝ている
店主の息子はベストセラー作家だったが若くして死んだ
その本屋は店主の息子の印税で立てられたものだ
隣は地方随一の印刷屋で
店主とジッコンの仲だ
私は職を失い放浪中だったため
その本屋に厄介になることにした
とおりをはさんで向かいには
フライドチキンを廃棄するアクリルのボックスがある
ひがな「スルワンとムヘ」とか「シルメンバ」などの
難解な書物を読み暮らしていた
息子の嫁は身体が悪いらしく
昼日中は移動する書棚の下で眠っているが
夜になると店主と同衾する
私は板の間でそれを眺めつつまんじりとせず夜を過ごすのだ
ある夜のこと
所用で地方都市に出かけた私は
帰りの電車賃もきれとぼとぼと田舎道を歩いて帰宅した
疲れた身体を横たえた私に
店主と息子の嫁は優しく笑いかけた
いつもは眠っているのにその日はなぜか二人とも明るい
私は始めて息子の嫁が布団から出ている姿を見た
古臭いセーラー服を着てボンヤリと笑っていたが
顔はネズミにそっくりだった
そんな夢を見た
伝説の本屋がある
中央からぶら下がった番台みたいな
管理人が居る書棚が一定間隔で
4面に移動するという本屋
その下は畳敷きで店主の息子の嫁が寝ている
店主の息子はベストセラー作家だったが若くして死んだ
その本屋は店主の息子の印税で立てられたものだ
隣は地方随一の印刷屋で
店主とジッコンの仲だ
私は職を失い放浪中だったため
その本屋に厄介になることにした
とおりをはさんで向かいには
フライドチキンを廃棄するアクリルのボックスがある
ひがな「スルワンとムヘ」とか「シルメンバ」などの
難解な書物を読み暮らしていた
息子の嫁は身体が悪いらしく
昼日中は移動する書棚の下で眠っているが
夜になると店主と同衾する
私は板の間でそれを眺めつつまんじりとせず夜を過ごすのだ
ある夜のこと
所用で地方都市に出かけた私は
帰りの電車賃もきれとぼとぼと田舎道を歩いて帰宅した
疲れた身体を横たえた私に
店主と息子の嫁は優しく笑いかけた
いつもは眠っているのにその日はなぜか二人とも明るい
私は始めて息子の嫁が布団から出ている姿を見た
古臭いセーラー服を着てボンヤリと笑っていたが
顔はネズミにそっくりだった
そんな夢を見た
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