*過去の記事の再録です*
闇の森に棲み始めてもう5年にもなるか
最初はこの森も明るい陽が射していた
だがその光に別れを告げて以来
森は闇の中だ
闇の森は暗いだけでなく寒い
いてつく寒さは骨どころか魂に響く
やり過ごすにはじっとしてうごかないこと
これに尽きる
闇の森にはたまに光が射す
か細く頼りない光だ
それにつられて歩いていくと
光は途中で途絶え
以前よりもっと暗くて寒い領域に取り残される
闇の森にもいい事がいくつかある
大好物のタベモノがいくつかある
それはぼんやりと燐光を放っていて
闇の中での唯一の救いだ
だが、食べてしまうとその光は無くなる
食べないように我慢するのだが
やはり食欲には代えられない
闇は物理的にのしかかってくるときもある
それこそもう身動き取れないほどに
いつもどおり黙ってじっとしてればすぐに楽になるのだろうが
体の中にまで浸透してくるから性質が悪い
しかも、何故かそれは気持ちいいんだ
こんな闇の森なんてすぐ抜ければいいのだろうが
今はもう闇に慣れてしまって
闇の中が居心地よくて
すぐそばに春の光が射してるんだけど
闇のいてつく寒さから出られない
だから闇の森には気軽に遊びに行ってはいけない
君も闇の生き物になってしまうのだから
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